特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)(自律型致死兵器システム(LAWS)政府専門家会合を含む)
令和6年8月26日
【概要】
特定通常兵器使用制限条約(Convention on Certain Conventional Weapons:CCW)は、非人道的な効果を有する特定の通常兵器の使用又は制限を目的として、1980年にジュネーブにて採択された。手続等基本事項を規定した本体条約(我が国を含む126か国が締約)及び個別の通常兵器を規制する5つの付属議定書からなる。
自律型兵器システム(LAWS:Lethal Autonomous Weapons Systems)は、CCWの枠組みで2014年に議論が始まり、2017年からは政府専門家会合が定期的に開催されている。現在は、政府専門家会合においてLAWSの特徴や人間の関与のあり方、国際人道法上の課題等の議論が行われている。
特定通常兵器使用制限条約(CCW)の概要はこちら。
自律型致死兵器システム(LAWS)の概要はこちら。
【LAWSに関する最近の動き】
(1)政府専門家会合
2019年の会合では、LAWSに関して各国が考慮すべき指針(Guiding Principles)が承認された。この指針は、2021年12月にCCW第6回運用検討会議で承認され、CCWにおけるLAWSに関する議論において極めて重要な位置づけを付与されている。概要は以下のとおり。
(a) 国際人道法(IHL) は、 LAWSの潜在的な開発及び使用を含む、 全ての兵器システムに完全に適用される。
(b) 兵器システムの使用の決定に当たっては、 説明責任が機械に転嫁できないため、人間の責任が確保されなければならない。人間の責任の確保は、兵器システムのライフ・サイクル全体で考慮されるべき。
(c) 人間と機械の相互関係は、様々な形態を取り得るもので、かつ、兵器のライフ・サイクルの様々な段階で起こり得るものである。人間と機械の相互関係は、LAWS関連の新興技術に基づく兵器システムの潜在的な使用が、適用可能な国際法、特に国際人道法に従うことを確保すべき。人間と機械の相互関係の特性と程度の決定に際しては、運用の状況、兵器システム全体としての特徴や性能を含む様々な要因が考慮されるべき。
(d) CCWの枠組みにおける新たな兵器システムの開発、配備及び使用における説明責任は、責任ある人間の指揮統制系統の範囲内における兵器システムの運用を通じたものを含め、適用可能な国際法に従って確保されなければならない。
(e) 国際法の下での国家の義務に従い、新たな兵器、戦闘の手段又は方法の研究・開発・取得・採用に当たっては、その使用/利用が一部又は全ての状況において、国際法で禁じられているか否かを決めなければならない。
(f) LAWS関連の新興技術に基づく新たな兵器システムの開発・取得に当たっては、 物理的な防護、適切な非物理的な予防措置(ハッキングやフィッシング対策のサイバーセキュリティを含む)、テロリスト・グループによる取得のリスク、拡散のリスクが考慮されるべき。
(g) リスク評価と緩和措置は、兵器システムにおける新興技術の設計・開発・試験・配備サイクルの一部とすべき。
(h) LAWS関連の新興技術を使用する際、IHL及びその他の適用可能な国際的な法的義務の遵守が考慮されるべき。
(i) あり得べき政策的措置の形成に際しては、LAWS関連の新興技術を擬人化すべきではない。
(j) CCW場裏での議論及びあり得べき政策的措置が、高度な自律化技術の進展やその平和的利用へのアクセスを妨げるべきではない。
(k) CCWは、軍事的必要性と人道的考慮のバランスを追求するという条約の趣旨及び目的の文脈において、LAWS関連の新興技術の問題を扱う適切な枠組みを提供する。
2022年及び23年にダミーコ(Mr. Flàvio Soares Damico)ブラジル軍縮代表部大使の議長の下で開催された政府専門家会合では、多くの国及びグループから具体的な提案が提出され、これらに基づき実質的な議論が進んだ。
2023年の政府専門家会合では、実質的内容を含む報告書が全会一致で採択され、LAWSに関する新興技術を用いた兵器システムに関して、国際人道法を遵守できないものは使用禁止とすること、国際人道法を含む国際法の遵守を確保するために兵器システムのライフ・サイクル全体を通じ必要に応じて標的の種類の制限等を行うこと等が明記された。
また同年11月の特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)締約国会議では、政府専門家会合の新しいマンデートが決定され、2024年から26年にかけて毎年10日間の日程で会合を開催し、その結果を26年の第7回CCW締約国会議に報告することとなった。
2024年の政府専門家会合は、イン・デン・ボッシュ(Mr. Robert in den BOSCH)オランダ軍縮代表部大使が議長を務めている。
(2)我が国の貢献
我が国は、米国、英国、カナダ、オーストラリア及び韓国とともに、政府専門家会合において「LAWS分野における新興技術に係る原則とグッドプラクティス(2022年)」、「国際人道法を基礎とした禁止と制限の方法にかかる自律型兵器システムに関する条項案(2023年)」を提案し議論に貢献している。
(3)我が国のステートメント
特定通常兵器使用制限条約(Convention on Certain Conventional Weapons:CCW)は、非人道的な効果を有する特定の通常兵器の使用又は制限を目的として、1980年にジュネーブにて採択された。手続等基本事項を規定した本体条約(我が国を含む126か国が締約)及び個別の通常兵器を規制する5つの付属議定書からなる。
自律型兵器システム(LAWS:Lethal Autonomous Weapons Systems)は、CCWの枠組みで2014年に議論が始まり、2017年からは政府専門家会合が定期的に開催されている。現在は、政府専門家会合においてLAWSの特徴や人間の関与のあり方、国際人道法上の課題等の議論が行われている。
特定通常兵器使用制限条約(CCW)の概要はこちら。
自律型致死兵器システム(LAWS)の概要はこちら。
【LAWSに関する最近の動き】
(1)政府専門家会合
2019年の会合では、LAWSに関して各国が考慮すべき指針(Guiding Principles)が承認された。この指針は、2021年12月にCCW第6回運用検討会議で承認され、CCWにおけるLAWSに関する議論において極めて重要な位置づけを付与されている。概要は以下のとおり。
(a) 国際人道法(IHL) は、 LAWSの潜在的な開発及び使用を含む、 全ての兵器システムに完全に適用される。
(b) 兵器システムの使用の決定に当たっては、 説明責任が機械に転嫁できないため、人間の責任が確保されなければならない。人間の責任の確保は、兵器システムのライフ・サイクル全体で考慮されるべき。
(c) 人間と機械の相互関係は、様々な形態を取り得るもので、かつ、兵器のライフ・サイクルの様々な段階で起こり得るものである。人間と機械の相互関係は、LAWS関連の新興技術に基づく兵器システムの潜在的な使用が、適用可能な国際法、特に国際人道法に従うことを確保すべき。人間と機械の相互関係の特性と程度の決定に際しては、運用の状況、兵器システム全体としての特徴や性能を含む様々な要因が考慮されるべき。
(d) CCWの枠組みにおける新たな兵器システムの開発、配備及び使用における説明責任は、責任ある人間の指揮統制系統の範囲内における兵器システムの運用を通じたものを含め、適用可能な国際法に従って確保されなければならない。
(e) 国際法の下での国家の義務に従い、新たな兵器、戦闘の手段又は方法の研究・開発・取得・採用に当たっては、その使用/利用が一部又は全ての状況において、国際法で禁じられているか否かを決めなければならない。
(f) LAWS関連の新興技術に基づく新たな兵器システムの開発・取得に当たっては、 物理的な防護、適切な非物理的な予防措置(ハッキングやフィッシング対策のサイバーセキュリティを含む)、テロリスト・グループによる取得のリスク、拡散のリスクが考慮されるべき。
(g) リスク評価と緩和措置は、兵器システムにおける新興技術の設計・開発・試験・配備サイクルの一部とすべき。
(h) LAWS関連の新興技術を使用する際、IHL及びその他の適用可能な国際的な法的義務の遵守が考慮されるべき。
(i) あり得べき政策的措置の形成に際しては、LAWS関連の新興技術を擬人化すべきではない。
(j) CCW場裏での議論及びあり得べき政策的措置が、高度な自律化技術の進展やその平和的利用へのアクセスを妨げるべきではない。
(k) CCWは、軍事的必要性と人道的考慮のバランスを追求するという条約の趣旨及び目的の文脈において、LAWS関連の新興技術の問題を扱う適切な枠組みを提供する。
2022年及び23年にダミーコ(Mr. Flàvio Soares Damico)ブラジル軍縮代表部大使の議長の下で開催された政府専門家会合では、多くの国及びグループから具体的な提案が提出され、これらに基づき実質的な議論が進んだ。
2023年の政府専門家会合では、実質的内容を含む報告書が全会一致で採択され、LAWSに関する新興技術を用いた兵器システムに関して、国際人道法を遵守できないものは使用禁止とすること、国際人道法を含む国際法の遵守を確保するために兵器システムのライフ・サイクル全体を通じ必要に応じて標的の種類の制限等を行うこと等が明記された。
また同年11月の特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)締約国会議では、政府専門家会合の新しいマンデートが決定され、2024年から26年にかけて毎年10日間の日程で会合を開催し、その結果を26年の第7回CCW締約国会議に報告することとなった。
2024年の政府専門家会合は、イン・デン・ボッシュ(Mr. Robert in den BOSCH)オランダ軍縮代表部大使が議長を務めている。
(2)我が国の貢献
我が国は、米国、英国、カナダ、オーストラリア及び韓国とともに、政府専門家会合において「LAWS分野における新興技術に係る原則とグッドプラクティス(2022年)」、「国際人道法を基礎とした禁止と制限の方法にかかる自律型兵器システムに関する条項案(2023年)」を提案し議論に貢献している。
(3)我が国のステートメント
- 2024年8月26日 自律型致死兵器システム(LAWS)政府専門家会合(GGE)におけるステートメント(梅津次席)
2024年3月4日 自律型致死兵器システム(LAWS)政府専門家会合(GGE)におけるステートメント(梅津次席)
2023年5月15日 自律型致死兵器(LAWS)システム政府専門家会合(GGE)におけるステートメント(小笠原大使)
2023年3月6日 自律型致死兵器(LAWS)システム政府専門家会合(GGE)におけるステートメント(小笠原大使)
2022年11月16日 特定通常兵器使用禁止制限条約締約国会議における自律型致死兵器システムに関するステートメント(小笠原大使)
2022年11月15日 特定通常兵器使用禁止制限条約改正議定書II第24回締約国会議におけるステートメント(小笠原大使)
2022年7月20日 特定通常兵器使用禁止制限条約改正議定書II専門家会合におけるステートメント(小笠原大使)
2021年12月13日 第6回運用検討会議におけるステートメント(小笠原大使)
2021年12月10日 オンラインセミナー「即席爆発装置(IED)の上流対策ーIEDの製造に用いられる資材の違法拡散及び流用対策ー」における冒頭挨拶(小笠原大使)
2021年8月16日、17日 特定通常兵器使用禁止制限条約改正議定書II専門家会合における冒頭発言(小笠原大使)
2019年11月13日 特定通常兵器使用禁止制限条約(2019年締約国会議)におけるステートメント(髙見澤大使)
2010年 11月 26日 2010年締約国会議 (概要と評価)
2007年 11月 06日 Statement by H.E. Mr. Sumio TARUI at the Ninth Meeting of the High Contracting Parties to Amended Protocol II to the CCW
2006年 11月 17日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the Third Review Conference to the CCW
2006年 11月 13日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the Third Review Conference to the CCW
2006年 11月 07日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the Third Review Conference to the CCW
2006年 11月 06日 Statement by H.E. Yoshiki MINE at the Eigth Annual Conference of the States Parties to Amended Protocol II to the CCW
2006年 08月 28日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 15th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2006年 06月 19日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 14th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2006年 03月 06日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 13th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2005年 11月 24日 Statement by H.E. Yoshiki MINE at the Meeting of the States Parties to the CCW
2005年 11月 23日 Statement by H.E. Yoshiki MINE at the Seventh Annual Conference of the States Parties to Amended Protocol II to the CCW
2005年 11月 14日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 12th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2005年 08月 02日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 11th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2005年 03月 07日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 10th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2004年 07月 05日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 8th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2003年 11月 27日 Statement by H.E. Dr. Kuniko INOGUCHI at the Meeting of the States Parties to the CCW
2003年 11月 26日 Statement by H.E. Dr. Kuniko INOGUCHI at the Fifth Annual Conference of the States Parties to Amended Protocol II to the CCW
2002年 12月 12日 Statement by H.E. Dr. Kuniko INOGUCHI at the Meeting of the States Parties to the CCW
2002年 12月 11日 Statement by H.E. Dr. Kuniko INOGUCHI at the 4th Annual Conference of the States Parties to Amended Protocol II to the CCW
2001年 12月 10日 Statement by H.E. Seiichiro NOBORU at the Third Annual Conference of the States Parties to Amended Protocol II to the CCW
2001年 09月 24日 Statement by H.E. Seiichiro NOBORU at the Third Session of the Preparatory Committee for the Second Review Conference of the States Parties to the CCW
2000年 12月 11日 Statement by H.E. Seiichiro NOBORU at the Second Annual Conference of the States Parties to the Amended Protocol II to the CCW
2007年 11月 06日 Statement by H.E. Mr. Sumio TARUI at the Ninth Meeting of the High Contracting Parties to Amended Protocol II to the CCW
2006年 11月 17日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the Third Review Conference to the CCW
2006年 11月 13日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the Third Review Conference to the CCW
2006年 11月 07日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the Third Review Conference to the CCW
2006年 11月 06日 Statement by H.E. Yoshiki MINE at the Eigth Annual Conference of the States Parties to Amended Protocol II to the CCW
2006年 08月 28日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 15th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2006年 06月 19日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 14th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2006年 03月 06日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 13th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2005年 11月 24日 Statement by H.E. Yoshiki MINE at the Meeting of the States Parties to the CCW
2005年 11月 23日 Statement by H.E. Yoshiki MINE at the Seventh Annual Conference of the States Parties to Amended Protocol II to the CCW
2005年 11月 14日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 12th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2005年 08月 02日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 11th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2005年 03月 07日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 10th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2004年 07月 05日 Statement by H. E. Yoshiki MINE at the 8th Session of the CCW Group of Governmental Experts
2003年 11月 27日 Statement by H.E. Dr. Kuniko INOGUCHI at the Meeting of the States Parties to the CCW
2003年 11月 26日 Statement by H.E. Dr. Kuniko INOGUCHI at the Fifth Annual Conference of the States Parties to Amended Protocol II to the CCW
2002年 12月 12日 Statement by H.E. Dr. Kuniko INOGUCHI at the Meeting of the States Parties to the CCW
2002年 12月 11日 Statement by H.E. Dr. Kuniko INOGUCHI at the 4th Annual Conference of the States Parties to Amended Protocol II to the CCW
2001年 12月 10日 Statement by H.E. Seiichiro NOBORU at the Third Annual Conference of the States Parties to Amended Protocol II to the CCW
2001年 09月 24日 Statement by H.E. Seiichiro NOBORU at the Third Session of the Preparatory Committee for the Second Review Conference of the States Parties to the CCW
2000年 12月 11日 Statement by H.E. Seiichiro NOBORU at the Second Annual Conference of the States Parties to the Amended Protocol II to the CCW