武器貿易条約(ATT)
令和5年6月2日
1 国際社会の動き
(1)通常兵器の不正な取引は各国の安全保障、社会、経済及び人道状況に悪影響をもたらす。このため、1990年代後半から、通常兵器の移転を規制するための武器貿易条約の必要性が国際社会で認識されるようになった。
(2)2006年に、我が国、アルゼンチン、英国、ケニア、オーストラリア、コスタリカ及びフィンランドの7か国(以下原共同提案国)により共同で提出された国連総会決議案(A/RES/61/89)が採択され、武器貿易条約に関する検討が開始された。 四度の準備会合を経て、二度の国連会議で交渉が行われ、2013年4月2日に国連総会において条約が採択された。
(3)この条約は、通常兵器(戦車、装甲戦闘車両、大口径火砲システム、戦闘用航空機、攻撃ヘリコプター、軍艦、ミサイル及びその発射装置、小型武器及び軽兵器)の国際移転を規制するための国際的な基準を確立し、通常兵器の不正な取引などを防止することを目的としている。締約国が、この条約に基づき通常兵器の国内管理制度を確立し、国連安保理決議や自国が当事国である国際協定に基づく義務などに違反する場合は移転を許可しないことなどにより、国際社会における通常兵器の国際貿易の管理が強化され、国際社会の平和と安定に寄与するものである。条約は2014年12月に発効し、締約国は113か国、署名国は28か国である(2023年5月現在)。
(4)2015年8月のメキシコでの第1回締約国会議を始め、これまでに8回の締約国会議が開催され、3つの作業部会(条約履行、普遍化、透明性・報告)の常設や締約国及び署名国の条約履行を支援するための任意信託基金の設置などが合意されたほか、各締約国会議議長の主導により、ATTとSDGsの相互補完性、流用防止策、ジェンダー及びジェンダーに基づく暴力(GBV)などについて議論されてきた。
(5)2022年8月に開催された第8回締約国会議においては、第6回締約国会議で設置が決定した「流用に関する情報共有フォーラム」が初めて開催され、仏、英、アルゼンチン及びメキシコが、武器の流用の具体的事例及びその対処についてプレゼンテーションを実施した。
(2)2006年に、我が国、アルゼンチン、英国、ケニア、オーストラリア、コスタリカ及びフィンランドの7か国(以下原共同提案国)により共同で提出された国連総会決議案(A/RES/61/89)が採択され、武器貿易条約に関する検討が開始された。 四度の準備会合を経て、二度の国連会議で交渉が行われ、2013年4月2日に国連総会において条約が採択された。
(3)この条約は、通常兵器(戦車、装甲戦闘車両、大口径火砲システム、戦闘用航空機、攻撃ヘリコプター、軍艦、ミサイル及びその発射装置、小型武器及び軽兵器)の国際移転を規制するための国際的な基準を確立し、通常兵器の不正な取引などを防止することを目的としている。締約国が、この条約に基づき通常兵器の国内管理制度を確立し、国連安保理決議や自国が当事国である国際協定に基づく義務などに違反する場合は移転を許可しないことなどにより、国際社会における通常兵器の国際貿易の管理が強化され、国際社会の平和と安定に寄与するものである。条約は2014年12月に発効し、締約国は113か国、署名国は28か国である(2023年5月現在)。
(4)2015年8月のメキシコでの第1回締約国会議を始め、これまでに8回の締約国会議が開催され、3つの作業部会(条約履行、普遍化、透明性・報告)の常設や締約国及び署名国の条約履行を支援するための任意信託基金の設置などが合意されたほか、各締約国会議議長の主導により、ATTとSDGsの相互補完性、流用防止策、ジェンダー及びジェンダーに基づく暴力(GBV)などについて議論されてきた。
(5)2022年8月に開催された第8回締約国会議においては、第6回締約国会議で設置が決定した「流用に関する情報共有フォーラム」が初めて開催され、仏、英、アルゼンチン及びメキシコが、武器の流用の具体的事例及びその対処についてプレゼンテーションを実施した。
2 日本の取組
(1)日本は、武器貿易条約(ATT)の検討開始を決定した2006年の国連総会決議(A/RES/61/89)の原共同提案国の一つとして、国連における議論及び交渉を主導してきた。2012年及び2013年に、二度の国連会議において副議長国を務めるとともに、他の武器貿易条約推進国やNGOとも連携しつつ様々な提案を行い、異なる立場の国の調整役を果たすなど、条約案の作成及び採択に貢献した。日本は、署名開放日である2013年6月3日に署名を行い、2014年5月9日に受諾書を国連に寄託し、アジア太平洋地域で最初の締約国となった。
(2)髙見澤將林軍縮代表部大使(当時)は、第4回締約国会議(2018年8月)議長を務めた。同大使は、議長として、SDGsとATTの相互補完性に関する合同パネルや、流用対策に係る専用パネルを主催した。また我が国は2018年、ATT履行にかかる能力強化を目的に設置された任意信託基金(VTF)(2016年に設置)に300万ドルを拠出した。2022年9月現在において、累計拠出総額は約1100万ドルであり、日本は最大拠出国となっている。
髙見澤大使は、2017年9月から2019年8月まで普遍化作業部会の共同議長も務め、ATTを締結していないアジア太平洋諸国及び主要武器貿易国に対して早期の締結を働きかけた。その後も日本は、アジア太平洋地域の未締約国に対する普遍化ラウンドテーブル会合を毎年開催し、条約普遍化の取組を継続している。
(2)髙見澤將林軍縮代表部大使(当時)は、第4回締約国会議(2018年8月)議長を務めた。同大使は、議長として、SDGsとATTの相互補完性に関する合同パネルや、流用対策に係る専用パネルを主催した。また我が国は2018年、ATT履行にかかる能力強化を目的に設置された任意信託基金(VTF)(2016年に設置)に300万ドルを拠出した。2022年9月現在において、累計拠出総額は約1100万ドルであり、日本は最大拠出国となっている。
髙見澤大使は、2017年9月から2019年8月まで普遍化作業部会の共同議長も務め、ATTを締結していないアジア太平洋諸国及び主要武器貿易国に対して早期の締結を働きかけた。その後も日本は、アジア太平洋地域の未締約国に対する普遍化ラウンドテーブル会合を毎年開催し、条約普遍化の取組を継続している。
【参考】日本のステートメント