クラスター弾に関する条約
令和5年6月8日
1 国際社会の動き
特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みでクラスター弾(注)に関する交渉を開始することが提案されたが、そのための決定ができなかったことを受け、2007年にノルウェーを始めとする有志国がCCWの枠外で国際会議を開催し、文民に許容し難い被害をもたらすクラスター弾を禁止する国際約束を2008年中に策定する旨のオスロ宣言を採択した。この宣言に端を発するオスロ・プロセスにより作成された条約案は、2008年5月、ダブリン会議(アイルランド)において採択され、同年12月、ノルウェーのオスロにおいて署名式が行われた。
日本は日本国内における条約の実施を確保するため、「クラスター弾の製造の禁止及び所持の禁止に関する法律」を制定し、罰則をもってクラスター弾の製造を禁止、所持を規制し、2009年7月に同条約を締結した。
(注)クラスター弾とは、一般的に、多量の子弾を入れた大型の容器が空中で開かれて、子弾が広範囲に散布される仕組みの爆弾及び砲弾等のことをいう。1個の弾薬の爆発力を分散し、通常の弾薬にはできないような広範囲に効果を及ぼすことができる反面、不発弾となる確率が高く、文民にも被害を及ぼすことから人道上の問題が指摘されている。
日本は日本国内における条約の実施を確保するため、「クラスター弾の製造の禁止及び所持の禁止に関する法律」を制定し、罰則をもってクラスター弾の製造を禁止、所持を規制し、2009年7月に同条約を締結した。
(注)クラスター弾とは、一般的に、多量の子弾を入れた大型の容器が空中で開かれて、子弾が広範囲に散布される仕組みの爆弾及び砲弾等のことをいう。1個の弾薬の爆発力を分散し、通常の弾薬にはできないような広範囲に効果を及ぼすことができる反面、不発弾となる確率が高く、文民にも被害を及ぼすことから人道上の問題が指摘されている。
2 クラスター弾に関する条約(CCM)
(1)クラスター弾に関する条約(CCM: Convention on Cluster Munitions)は、クラスター弾による人道上の問題に効果的に対処するため、クラスター弾の使用、開発、生産、取得、貯蔵、保有又は移譲等を禁止するとともに、貯蔵弾の廃棄を義務付け、さらにクラスター弾による被害者に対する援助及び国際的な協力の枠組みの構築等について規定している。同条約は2010年2月16日に条約発効に必要な30番目の批准書等の寄託が行われたことを受け、同年8月1日、発効した。2023年3月末現在、締約国数は111か国・地域。
(2)2010年11月、クラスター弾の最も深刻な被害を受けた国・ラオスの首都ビエンチャンにおいて条約の第1回締約国会議が開催された。この会議では、クラスター弾による被害を絶つという締約国による力強い決意が確認されたことに加え、締約国が今後条約を履行する上での具体的な行動指針となる「ビエンチャン行動計画」が採択され、「ビジョンから行動へ」(2010年ビエンチャン宣言)移行する体制が整えられた。2020年11月には、ローザンヌ(スイス)で第2回検討会議が開催される予定であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う規制措置(集会の禁止等)を受け、会議をパート1およびパート2とし、パート1を2020年11月25日から27日、パート2を2021年9月20日および21日の2回に分けて開催された。同会議では、第1回検討会議以降の条約の履行状況に関する報告及び分析が行われたほか、向こう5年間の取組に関するローザンヌ行動計画やローザンヌ政治宣言が採択された(於:ジュネーブ)。2022年8月30日から9月2日にかけて第10回年次締約国会議が開催された。ローザンヌ行動計画の履行状況について議論がなされた。同年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシア及び、ウクライナが不在(両国は未締約国)の中、ウクライナにおけるロシア軍によるクラスター弾使用についての、最終報告書における言及を巡っても評価が行われ、ウクライナでのクラスター弾使用という文言が最終報告書に反映された。
(2)2010年11月、クラスター弾の最も深刻な被害を受けた国・ラオスの首都ビエンチャンにおいて条約の第1回締約国会議が開催された。この会議では、クラスター弾による被害を絶つという締約国による力強い決意が確認されたことに加え、締約国が今後条約を履行する上での具体的な行動指針となる「ビエンチャン行動計画」が採択され、「ビジョンから行動へ」(2010年ビエンチャン宣言)移行する体制が整えられた。2020年11月には、ローザンヌ(スイス)で第2回検討会議が開催される予定であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う規制措置(集会の禁止等)を受け、会議をパート1およびパート2とし、パート1を2020年11月25日から27日、パート2を2021年9月20日および21日の2回に分けて開催された。同会議では、第1回検討会議以降の条約の履行状況に関する報告及び分析が行われたほか、向こう5年間の取組に関するローザンヌ行動計画やローザンヌ政治宣言が採択された(於:ジュネーブ)。2022年8月30日から9月2日にかけて第10回年次締約国会議が開催された。ローザンヌ行動計画の履行状況について議論がなされた。同年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシア及び、ウクライナが不在(両国は未締約国)の中、ウクライナにおけるロシア軍によるクラスター弾使用についての、最終報告書における言及を巡っても評価が行われ、ウクライナでのクラスター弾使用という文言が最終報告書に反映された。
3 日本の取組
(1)日本は条約を国内において適確に実施するための法律「クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律」を整え、2009年7月に本条約を締結した。日本は、クラスター弾の汚染国ではないが、貯蔵クラスター弾の廃棄義務を履行する必要があった。クラスター弾に関する条約は、条約が自国について効力を生じた後できるだけ速やかに、遅くとも8年以内に貯蔵クラスター弾を廃棄し、又はその廃棄を確保することを義務づけている(第3条)ことから、日本は条約締結後、条約上の期限である2018年までに自衛隊が保有するクラスター弾の廃棄を完了するための準備に着手し、2015年2月9日にその廃棄を完了した。
(2)地雷同様、クラスター弾の被害を受けた国の多くは開発途上国であり、被害国のみの力で除去・被害者支援等の義務を十分に履行することが困難な場合がある。本条約は、締約国が条約上の義務を履行するための国際的な協力及び援助についても規定している。これまで日本は、クラスター弾等の不発弾に汚染された地域・国に対して、不発弾の除去及び被害者の支援を実施してきており、2022年には、地雷・不発弾(クラスター以外の不発弾も含む)対策に対する支援として約5,200万ドルを拠出した。(2023年5月26日更新)
【参考】日本のステートメント
(2)地雷同様、クラスター弾の被害を受けた国の多くは開発途上国であり、被害国のみの力で除去・被害者支援等の義務を十分に履行することが困難な場合がある。本条約は、締約国が条約上の義務を履行するための国際的な協力及び援助についても規定している。これまで日本は、クラスター弾等の不発弾に汚染された地域・国に対して、不発弾の除去及び被害者の支援を実施してきており、2022年には、地雷・不発弾(クラスター以外の不発弾も含む)対策に対する支援として約5,200万ドルを拠出した。(2023年5月26日更新)
【参考】日本のステートメント